SMAFオーサリングツール(WaveTable)について 2003/11
【ATS-MAx-SMAF】の導入
SMAFオーサリングツール【ATS-MAx-SMAF】は、SMAF Globalより無料頒布されています。
このツールを使い、MIDIファイルの読み込み→音色編集→Vodafone,EZwebの着信音フォーマット.mmfファイルの出力を行えるほか、
MLDC16など一部のエディタで、このツールで編集した音色情報を読み込み、.mldファイル(Docomoの着メロファイル)の出力に反映させることができます。
対応のOSを確認の上、導入して下さい。
WAV−波形編集ツールの導入
WaveTableで使用する.wav(.aif)波形ファイルの編集には、専用の波形エディタが必須となります。
ソフトの内容は問いませんが、最低限、「任意のサンプリングレートを指定してファイル出力できる」ものが望ましいです。
理由は、後述のFs値の説明に準拠します。
また、波形を視覚的に確認できる事、1サンプル単位の切り貼り、レベル調整、イコライジングの自由度、フリーウェアという点で、筆者はヤマハWave Editor TWEの使用を推奨しています。
WAV−テンプレート波形の作成
後述のFs値に基づき、WaveTableで使う.wav(.aif)のテンプレート(ブランク波形)を作成します。
ここで、よく使う周波数の波形テンプレートを作成しておくと、素材収集時の便宜を図る事ができます。
TWEを使った例
- [File]→[New]で新規波形作成画面を出します。
波形のサンプリング周波数を直接入力できる欄がありますので、オーサリングの推奨Fs値を元に、任意の値を入力します。
入力する値は、2の倍数値(整数で割り切れるもの)を推奨(後述),
チャンネルは[mono]を選択します。
[bitサイズについて]
8bitの波形ファイルは8bitPCMに、16bitの波形ファイルは4bitADPCMに、それぞれATSへ取り込んだ際、変換されます。
4bitADPCMに比べ、8bitPCMの方が音の精度は高くなりますが、比例して消費容量も大きくなります。
音の特性が著しく損われる場合を除き、取り込む波形のbitサイズは、4bitADPCM(16bit)で支障はないと思います。 ただし波形の性質によっては4bitADPCMでは音のガサつきが目立つ場合もありますので、ケースに応じて録り分けてください。
(経験上、特にピアノやオルガンなど、比較的丸みを帯びてクリアな特性を持った波形は、4bitADPCM化で波形劣化が激しいように感じます。元から荒れたような波形であれば、4bitADPCMで問題がない場合が多いようです)
作成した新規波形(ブランク波形)を、テンプレートファイルとして保存します。
同様の方法で、いくつかの周波数のテンプレート波形を作成しておきましょう。
WAV−波形の音階
録音素材の音階を決定します。
サンプリングの特性上、発音域が変わると、音の性質や再生時間が著しく変化するため、楽曲で使用した際、意図したニュアンスが表現できない場合があります。
これを回避するため、「実際に演奏される範囲中」の音階を事前決定して、録音する必要があります。
なお、音階はc(ド)の音階で録れる事が望ましいのですが、違った音階で録っても、オーサリング側で「ある程度」カバーできます。(後述)
音の再生時間は、低い音階ほど長くなり、サンプリング時間を多く取る必要がありますが、逆に高い音階になれば再生時間が収縮され、短いサンプリング時間で済みます。
可能であれば、できるだけ高い音階で録音する事を推奨します。
ただし、余り高すぎる音階で録ると、低音域での再生精度が損われ、原音とのニュアンスが著しく変化しますので、注意して下さい。
WAV−波形の録音周波数
録音素材の音階が決定したら、次は録音周波数(サンプリングレート)を決定します。
先で用意したテンプレートを利用して、様々な周波数で録音してみて下さい。
基本的に、高い音階やノイズ成分のある素材ほど、録音周波数は高いものが要求されます。
但し、録音周波数が高くなると、使用サンプル数(容量)も大きくなります。
楽曲で使用するWT素材の総数と、曲の長さなどを考慮して、ある程度妥協できる範囲の周波数を選択してください。
WAV−波形の加工
波形編集ツールで、波形の編集を行います。
ここでの編集は、ATSへテストアサインするための、仮編集となります。
TWEを使った例 (画面は筆者の環境です)

Bが作業領域,Aが演奏範囲指定ウインドウです。
[波形長の編集]
- Bで、不要な個所(あるいは必要な個所)をマウスで囲み、[Ctrl+X]でカット([Ctrl+T]でトリミング)します。
更に、Aのウインドウで演奏範囲を「極小さく」囲み、Bで1サンプル単位の切り貼りができるように、波形を伸張表示させます。
Bでドラッグしている「サンプル数」は、画面右下の[D]の部分に表示されています。
また[[Shift]or[Alt]+カーソルキー]でも、ドラッグ範囲を調整できます。
伸張表示した波形から、不要な個所を極力削っていきます。
オーサリングの制約上、ATSで扱える音色情報の容量には限界があるため、余り大きな(16300前後以上)のサンプルは、ATSでは扱えませんので注意して下さい。
[波形レベルの編集(ノーマライズ)]
- 不要個所を削ったBで、[Ctrl+A]で全体を範囲指定します。
次に[Edit]→「Normalize」を選択します。ここでは100%を指定します。
Normalizeを行うと、波形の最もレベルの高い部分に合わせて、波形全体の音量を上げることができます。
[直流成分の除去(DC Offset)]
- 有害な直流成分を除去します。[Edit]→「DC Offset」。DC Offsetの結果、波形レベルが下がった場合は、もう一回ノーマライズし直して下さい。
[波形レベルの増幅(Gain)]
- 上記Normalizeを行ってもオーサリングツールで取り込んだ波形の音量が不足する場合は、
[Edit]→「Gain」で音量増幅ができます。
ただし、余り増幅すると波形自体に歪みが生じますので、注意して下さい。
[波形音質の補正(イコライジング)]
- レベル補正とは別に、高周波(低周波)の音質補正を行いたい場合は、
[Edit]→「EQ」で、任意周波数帯の音質補正が行えます。
イコライザで補正できる上限周波数は、取り込んだ波形のサンプリングレートの1/2までとなります。
イコライジングにより歪みが生じる場合は、NormalizeまたはGainで音量を下げた後、編集を行って下さい。
[ループポイント指定]
- ”Loop”と書かれたタブをクリックし、右隣のボックスに直接ループポイント値を入力するか、または、ルーラー(上記画像の黄色のライン)でループを指定したい場所をクリックし、Catch Loopボタン(画像の黄緑のライン)を押してループポイント値を取り込みます。
この状態で再生ボタンを押すと、指定したループポイント間を反復演奏します。
(いずれの場合も、編集を誤った際は、[Edit]→「Undo」で、編集前の状態に戻す事ができます)
ここで一旦保存します。[File]メニューでSaveして下さい。
次に、保存した波形を、ATS-MAx-SMAFに取り込みます。
WAV−波形の最終加工
オーサリングで、「EP」(ループエンドポイント)が決定したら、「EP」以降の不要な箇所を削除し、最終的にオーサリングへ取り込む波形の再生成を行います。
先程オーサリングへ取り込んだ波形を呼び出し、決定した「EP」から8〜10サンプル分(正常演奏させるためのマージン(=余白))を残し、以降をカットします。
残された波形が、「EP」+8サンプル分以上のマージンがある事を確認します。(間違えた場合は、TWEの場合、[Edit]→「Undo」でやり直せます)
この波形を、元の波形とは別のファイル名で保存します。
保存した波形を、再度オーサリングツールで読み込み、「LP」,「EP」,Fsを再設定して、音色が完成します。
波形を読み込んだ際、設定していたループポイント,Fsの値は初期化されてしまいますので、元の値を忘れないように注意して下さい。
(あらかじめ別の箇所に音色をコピーしておく事を推奨します)
ATS−初期設定
[Option]→[Preference]を選択し、「Pch Origin」を「1」に、「Note Origin」を「A4」に設定します。一般的なMIDIプログラムチェンジ番号とノート配置で使う場合、この設定にする事を推奨します。
また、「Default Directory」は、波形ファイル,vmファイルの参照時、デフォルトで表示されるディレクトリのパスとなります。頻繁に参照するディレクトリは予めここで指定しておいて下さい。
ATS-MA5-xxでは、「Emulator Playback Frequency」で、プレビュー時の再生周波数(音質)を指定する事ができます。
MA音源の再生周波数上限(48kHz)を指定することで、実機に近い音で出力できます。
ATS−音色編集
ツールバーの[Voice List]を選択し、音色リストウインドウを出します。
BankM 124,BankL 0がプリセット音色の格納領域、BankL 1以降がユーザー音色の格納域となります。
SMAFでは1〜9の全てのバンクを使用できます。(mldc16のmld変換ではバンク1のみ利用可)
プリセット音色を元にして編集を行う場合は、音色名の上で[右クリック→Copy([Ctrl+C])]で音色をコピーし、バンク1以降の任意個所に[右クリック→Paste([Ctrl+V])]で音色を貼り付けます。音色をダブルクリックすると音色編集ウインドウが現れます。
基本的な音色編集の概念はNotesの内容と同じですが、幾つか相違点があるので補足します。
- TL(トータルレベル)
TLは0が最大,63が最小となります。
EG
EGの設定値は以下のようになります。
AR (アタックレイト) | トータルレベルへ到達する時間。音の立ち上がり。
(0〜15) |
DR (ディケイレイト) | トータルレベルからSLへ到達する時間。音の減衰。
(0〜15) |
| SR (サスティンレイト) | SLへ到達してから減衰させる(0になる)までの時間。
(0〜15) |
RR (リリースレイト) | キーオフ後、レベル0になるまでの時間。
(0〜15) |
SL (サスティンレベル) | 音を維持するレベル。
(0〜15) |
15が最速,1が最遅,0で変化無しとなります。
XOF
キーオフ後、RRによるレベル変化を起こさない(音を維持させる)場合、ONにします。
SUS
MIDIコントロールのダンパー情報を受け取った際、音を維持させる場合ONにします。
EAM(イネイブルAM)
AM(Amplifier Modulation(トレモロ))を使う場合ONにします。
EVB(イネイブルVB)
ビブラートを使う場合ONにします。
DAM(AM深度)
AMの掛かり具合を設定します。
値による変化の度合は下記の通りです。
DAM=0 : 1.3dB
DAM=1 : 2.8dB
DAM=2 : 5.8dB
DAM=3 : 11.8dB
DVB(VB深度)
ビブラートの掛かり具合を設定します。
値による変化の度合は下記の通りです。
DVB=0 : 3.4セント
DVB=1 : 6.7セント
DVB=2 : 13.5セント
DVB=3 : 26.8セント
(1セント=1/100音階)
ATS−WaveTableとは
Voice Edit画面で[PCM Voice Edit]タブを選択すると、PCM波形アサインのウインドウに切り替わります。
ここで波形をアサインし、必要な加工を施したものが、「Wave Table」と呼称される音色になります。
ATS−波形の取り込み
[Load Wave File...]をクリックし、波形を読み込みます。([Option]→[Preference]で、参照頻度の多いディレクトリを、予め指定しておきましょう)
読み込んだ波形が、ATSのRAM容量に収まっていれば、鍵盤を押して、サンプリングした波形を演奏する事ができます。
ここで、FMのプリセットのような音が出ている場合は、読み込んだ波形の容量が大きすぎますので、波形の編集から再度やり直してください。
また、読み込んだ波形の音量が極端に低いと感じる場合、同様に波形の編集に戻り、Gainでの音量増幅や、イコライジングを行い、取り込む波形の再調整を行って下さい。
ATS−波形の音階シフト
ATSへ取り込んだ波形は、o4Cの音階へ割り当てられます。(「Note Origin」A4の場合)
Fsには、取り込んだ波形の周波数が表示されています。
ここで、推奨Fs値を参考にFsの値を上下させ、楽音の演奏に適したピッチに合わせて下さい。
取り込む波形の周波数は、波形作成の段階で、あらかじめ2の倍数値にしておけば、
Fsを約数,倍数とする事で、オクターブ違いの音階シフトが容易に行えます。
Fsは、推奨Fs値に基づく値以外、登録することはできません。(例外)
どのFs値を合わせてもピッチがずれてしまう場合は、演奏データ側のピッチベンドでピッチをずらして演奏させるか、波形を再度録音し直してください。
ATS−波形のEG
取り込んだ波形の特性に合わせて、EGを設定します。EGについては音色編集の項目を参照下さい。
ATS−波形のループ
持続系,減衰系音色を問わず、波形の鳴り始めから終わりまでをダイレクトに使うと、容量が肥大し、オーサリングの音色格納許容量や着メロファイルの容量を圧迫します。
そのため、不必要な波形要素は極力カットする作業が必要になります。
まず、波形を取り込むと、「LP」「EP」の部分に、取り込んだ波形のサンプル数が表示されています。

「LP」はループのスタート,「EP」はループのエンドポイントを表しています。
また、右隣の「LP」,「EP-1」の数値は、波形レベルを表します。(※旧Verではこの表示はありませんので最新版をDLして下さい)
ここで、「EP」の値を、ループに適すと思われるポイントまで収縮します。
「LP」を指定し、「EP」と上手く繋がるポイントに合わせます。(Tips)

基本的に、「LP」から「EP」までの波形のレベル変化が極端に激しい場合、ループは上手く繋げる事ができません。
波形を1から録り直すか、EGを適宜調整して、聴感上違和感がないように工夫して下さい。
ループが上手く定まり、「EP」(ループエンドポイント)が決定したら、音色を保存し、再度、波形エディタの編集に戻り、波形の最終加工に入ります。
(「EP」を決定し、ループ区間を短縮しても、実際に取り込まれている波形サンプル数は変化しませんので、このままでは容量節減にはなりませんので注意して下さい)
Tips
「LP」(ループスタート),「EP」(ループエンド)のポイントは、波形エディタとの連携で、ある程度見通しを立てる事ができます。
先の波形の加工の記述に従い、ウインドウ上で波形を伸張表示させ、波形レベルが0に近いかつループエンドと上手く繋がると思われる想定ポイントを控え、ATSに直接入力する事で、比較的スムーズにループ指定の作業を終える事ができます。
(TWE上でもループポイントの確認ができます)
実際には、波形エディタとの交互比較を繰り返しながら、作業していく事になると思います。
ATS−WAVE-ID について
Wave IDは、オーサリングへ取り込んだ各種波形の識別番号を表すもので、同じ識別子の波形を転用し、EGなどのパラメータのみを変えた別音色を複数生成し、楽曲で使用する事ができます。
例えば、Wave ID_1のストリングス波形を、持続音色,減衰音色などに分けて、使い分ける事などができます。
同じ波形を使っているため、着メロの容量には影響を与えません。
ただし、ATS-MA3-SMAFを用いたMMF変換に於いては、同じ波形で生成された別音色が、音色格納領域で重複登録されてしまう現象が確認されているため(2003/11月現在)、同じ波形を使っていても、登録した分の音色情報がRAMエリア内で加算されますので、注意して下さい。
(ただし着メロの容量自体には影響を与えません)
MLDCでのMLD変換には、上記の影響はないようです。
ATS−プリセットWT波形の編集
PCM Voice Edit画面で、「RM」の項目にチェックを入れると、Wave IDの欄で、プリセット7種類のPCM波形が選択できるようになります。
必要に応じて、ループやFs,EGを設定して、楽曲に取り込む事ができます。
なお、プリセット波形に関しては、1500〜48000Hzの、どのFs値でも登録できます。
ATS−オーサリングの制約
ATS-MAx-SMAFでは、PCMやFM音色を含む全ての音色格納容量(RAM)が8176byte(MA5 8192byte)と定められており、
それ以上の音色情報を登録する事ができません。
これを超えると、MLDCで出力したmldでは、PCM音色がプリセットFM音色に化けたり、オーサリングの変換時では、
「Can not convert file DLL MA-3 RAM overflow」
といった類のエラーが出て、コンバートが中断されます。
(登録された音色情報の総容量は、プレイパネル下部の「RS[B]:xxxx」の部分に表示されています(※))
全ての音色情報を、この容量内に納めるようにして下さい。
音色登録で消費するメモリは、ユーザーマニュアル「RAMサイズについて」をご覧下さい。
(※)「Import from SMF」でMIDIファイルを読み込み、「Voice Assign Map」で音色情報を割り当てた時のみ、表示されます。
通常の音色編集時に、この表示はありません。
ATS− Fs値

WaveTableの音色として登録する際、上記,推奨Fs値以外の値で登録する事はできません。
(※例外 ATS-MA5-SMAF(MA5モード)では、この制約はありません)
(※2004/07 現在は推奨Fs値以外の値でも波形登録できるようです)
ATS− .vmファイルの管理
複数のvmファイルを同じディレクトリに収納している場合、他のvmファイルを上書きしないように、作業中以外のファイル属性を読み取り専用にしておきましょう。
また、1つのバンクのみに音色を格納したvmファイルの場合、Fileメニューのセーブの他、バンク単位でのセーブを推奨します。
(「Bank M」項目上で、右クリック→[Export to Bank Voice...]で、単バンクのセーブができます)
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